コラム814 インスリン抵抗性がアルツハイマー病の発症に影響 九州大学「久山研究」
インスリン抵抗性のある2型糖尿病患者では、アルツハイマー病の発症に関係があるとされるプラークが形成される危険性が高いとの研究が、米国神経学アカデミー(AAN)の学会誌「Neurology(神経学)」で8月25日に発表された。糖尿病を治療することで、アルツハイマー病を予防できる可能性がある。
インスリン抵抗性は、血中のインスリン濃度にみあったインスリン作用を得られなくなり、高血糖になりやすくなった状態で、糖尿病の人や糖尿病予備群でみられる。2型糖尿病の原因となるほか、高血圧や動脈硬化の進行とも関わりがあると考えられている。
アルツハイマー病は、高齢化が進むにつれ患者が増えている。「2型糖尿病とアルツハイマー病の世界的な急増は、喫緊の課題となっている。肥満が増加しており、肥満は2型糖尿病の発症につながる。これらは深く関連している」と九州大学(福岡市)の佐々木健介氏らは話す。
九州大学の研究チームは福岡県久山町の135人(平均年齢67歳)を対象に研究を行った。対象者に血糖値の検査を行い、その後10~15年間にわたってアルツハイマー病の兆候がないかを観察した。久山町では住民を対象に、40年間にわたり精度の高い疫学調査「久山研究」が行われている。高血圧症、糖尿病、脳卒中などの生活習慣病の原因や予防策をさぐるのが目的だ。
研究期間中に対象者の約16%がアルツハイマー病を発症した。対象者の死後に研究チームが脳を調べ、アルツハイマー病の所見となるプラークや神経原線維のもつれ(tangle)を調べた。その結果、65%にプラークがみつかったという。
さらに、血糖コントロールに関する3種類の検査で異常がみられた患者で、プラークを形成する危険性が高いことがあきらかになった。プラークがみられたのは、インスリン抵抗性の認められない患者では62%だったが、認められた患者では72%と割合が高くなった。しかし、糖尿病の要因と脳の神経原線維のもつれとの関連はみいだせなかった。
佐々木氏は、「インスリン抵抗性がプラーク形成の原因と結論するにはさらに研究を進める必要がある」としながらも、「糖尿病をコントロールしたり予防することが、アルツハイマー病の予防につながる可能性がある」と述べている。
糖尿病ネットワーク2010/8/27
インスリン抵抗性とは、インスリンは充分に分泌されているけれど効き目が悪くなっているので血糖値が下がらない状態をいいます。一言で言えば、『筋肉や肝臓・脳でインスリンの作用が低下している状態』のことです。糖尿病の前段階ともいわれています。アルツハイマー病はインスリン抵抗性と大きな関係があるといわれています。アルツハイマー病は脳神経系のインスリン抵抗性に起因するという研究結果がたくさんあるのです。もちろん、アルツハイマー病は複雑な機序が絡み合った病気で、まだまだわからないことも多いのですが、脳内インスリンの効き目が悪いと脳の機能に重大な影響を与えルテインといわれています。実際、重度のアルツハイマー病患者の脳のインスリン受容体の数は健常人と比べて80%近くも少ないのだそうです。
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