雪の便りが届き、冷たい風がほおを突き刺すようになると、恋しくなるのが温泉だ。体の芯(しん)から温めたくなるし、忘年会や新年会などで温泉に行く機会も増える。この季節、気をつけなければいけないのが、入浴時の病気や事故。忙しい中での強行日程で思いもよらぬリスクから命を落とすケースも少なくないという。長年、温泉医学を研究している日本温泉気候物理医学会理事の倉林均・埼玉医科大准教授に安全な入浴術について聞いた。
さまざまな効能がうたわれる温泉だが、実際に重症の心不全や皮膚病、気管支ぜんそくなどの治療に効果を発揮する。ただ、研究成果は発展途上。倉林准教授は「温泉は治療、医療としてよりも旅館でくつろいで、1泊、2泊でも非常にリフレッシュして帰れば健康増進の面からすばらしいものです」と話す。
一方で、人体に及ぼす作用から入浴事故につながる可能性がある。「各地の消防署などに聞いた推計ですが、家庭での事故を中心に入浴の際、全国で1年間に1万人以上が亡くなっています。交通事故による死者数よりはるかに多い」と警鐘を鳴らす。
特に気をつけなければならないのは、60代以上の年齢層という。動脈硬化に起因する心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞が入浴に関係する事故の大半を占め、この世代がこうした病気を発症しやすい年齢に該当するからだ。お年寄りになるほど熱いお湯を好む人が多い点についても、「42度以上のお湯に入る高温浴は絶対やめてください。」と注意を促す。湯の温度が高いと血小板が活性化されて血管内に血栓ができやすく、脳梗塞などにつながる。「入浴中の飲酒も厳禁です。酒と入浴は血管拡張と利尿の2つの作用が重なり、血管が拡張して血圧が下がり利尿で血液が濃縮すると、脳の血流が下がり血液が固まりやすくなって非常に危険です。また朝風呂にも危険です。午前4時から8時の間は、人間にとって一番弱い時間帯で救急車の出動も多い。この時間帯に高い温度のお湯だとか、水圧だとかの負荷をかけるのは良くない。睡眠から覚醒(かくせい)にスイッチするまで、1時間くらいボーッとしてから入浴を」とアドバイスする。
産経新聞 2009/12/8
暖かい部屋から冷えたお風呂場に行って、服を脱ぐ。こんな急激な温度変化のため血圧が上昇し心筋梗塞や脳梗塞を起こすことがあります。特に衣服を脱ぐ脱衣所やトイレは突然倒れる人が多いようです。お風呂の脱衣所は衣服をすべて脱ぐ場所ですから、脱衣前に暖房するか、お風呂の湯気で温度を上げてみてはどうでしょうか。以下に高齢者の方の安全な入浴法を書いておきます。
■高齢者のための安全入浴法
1)温度が42度以上の湯には入らない
2)飲酒後は入浴しない
3)朝の入浴は避ける
4)入浴前後には水分を補給する
5)入浴の水位は胸までにする
6)更衣室と浴室の温度差をなくす
7)入浴の際は家族に知らせる。1人では入浴しない
店長